2005年11月26日

キヨママ、逝く

初めて新宿ゴールデン街のゲートをくぐったのはいつだったか。
友達のカナ姉さんに連れられて、不思議な街とふいに遭遇した。

その晩は若者だけで語り合うこと数時間、不意にジロちゃんというどこかの制作会社の社長だ、というおじさんが間に入ってきた。
僕達と意気投合するや、ジロちゃんは何軒ものお店をはしごして、僕らにゴールデン街の楽しみ方を教えてくれた。

もちろん、酒代は何にも言わず年長者が持つ。
たとえ相手が今日初めて出会った、鼻水を垂らした若造であっても、だ。
それがゴールデン街の慣わし。
こうして多くの若造が大人になっていったのだろう。

そうして最後に連れられて行ったのが、ゴールデン街30余年の生き証人ともいえるキヨママがいる「唯尼庵(ゆにあん)」だった。

ゴールデン街を初めて知った僕にも、この場所こそが、まさしくゴールデン街の中心であることはすぐに分かった。
常連客の笑い声、薄汚れた店内、そしてキヨママの元気なダミ声。
でも、この上なく居心地がいい。
そして温かいのだ。

http://www.the-shinjuku.ne.jp/CONTENTS/IN/UNDER/GOLDEN/YUI/

壁にはキヨママの若かりし日のセミヌードポスターがドーンと飾ってあり、オカッパ頭と如何にもいたずら好きそうな眼光が30年経っても変わっていないことに、ただただ驚いた。

その後も僕と同じく、鼻水を垂らした若者を引き連れては、キヨママとともに幾多の修羅場を潜り抜けてきたであろう、歴戦の猛者どもにほんの少し気を配りながら、美味しいお酒に舌鼓を打ったっけ...。

そんなキヨママが、この日曜日に突然逝ってしまった。
今度上京したときには、必ず行こうと思っていた矢先に、である。

http://blog.goo.ne.jp/jazztoday/e/cf1f6b3c1203fed99d500747939672da

楽しいお酒が大好きなキヨママ、きっとあの世でも、先に逝った気のおけない仲間達と楽しい酒を交わしているに違いない。

キヨママ、あなたに育てられた若者達は幾人いるのか知らないけれど、僕もその一人としてお礼を言わせてください。
34年間お疲れ様でした。そして本当にありがとう。

しばらく休んだなら、あの世でまた唯尼庵をオープンしてください。
いつか必ずまた飲みに行きますので。
それじゃあ、しばしの間お別れです。


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Posted by maxi at 01:28│Comments(0)日常日誌
 
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